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【連載6】皮膚とココロ〜触れる大切さ〜

はじめに

「小さい頃に、お母さんやお父さんに痛いところをさすってもらったら痛みが和らいだ」
「不安なときや緊張したときに、親しい人が肩に手を置いてくれたらなんだか安心した」

そんな経験はありませんか?

皮膚は、ただ “カラダの外側を覆うもの” というだけではなく、
実はココロとも密接に関係していると考えられています。

今回は「皮膚とココロの関係」についてお話ししたいと思います。

皮膚と脳の関係

赤ちゃんがお母さんのおなかのなかで成長していく過程で、
皮膚は脳と同じ「外胚葉(がいはいよう)」というところからできていきます。

皮膚は「体を覆う脳」とも言われます。
皮膚は、外の環境と自分の関係を調整する、感覚の鋭い膜ともとらえられます。

〈皮膚には脳と似た能力がある〉
・皮膚には、脳と同じように “情報をキャッチする能力” があります。
・皮膚は、昔スキンシップをしてもらった温かさや、怖かった感覚などを、“記憶する能力” があるとも考えられています。

スキンシップの効果

皮膚に触れるスキンシップによって下記のような効果があると言われています。

・不安感やストレスの軽減
・皮膚の感覚が目覚め、気持ちが落ち着く
・“愛情ホルモン”と言われる「オキシトシン」が分泌されやすくなる など

皮膚の感覚を応用した治療の例

●統合失調症

不安や緊張が高まると「自分と外の世界との境界感覚があやふやになる」ということがあります。
例えば、統合失調症の方では
「自分のなかに、他人の視線や考えが入り込んでくる」
「自分の考えが人に知られてしまう」
というような恐怖感を覚えることがあります。

そんなとき、自分の皮膚をなでて、
自分と外の境界をはっきり自覚すると落ち着くことがあります。

●自閉症

自閉症のパニック時に、
スクイズマシンという機械に入りカラダに圧をかけることで、
パニック症状が落ち着く、という症例がアメリカにあります。

また、
人工的にオキシトシンを投与することにより症状が軽くなる、
という研究もされています。

スキンシップやマッサージでもオキシトシンは分泌されますので、
自閉症の子どもさんへのタッチセラピーも
症状を軽くすることに役立つと言われています。

●軽度の学習障害(LD)・注意欠如多動症(ADHD)

多動や落ち着きがないときに、
ツボ押しのような刺激を与えることにより落ち着く場合があります。

また、
逆にぼんやりとして意欲がないときに、
軽いブラッシングや背中をたたくなどの動きのある軽い刺激を与えると、意識が覚醒します。

<典拠>
山口創.「皮膚感覚-皮膚と心の身体心理学」.全日本鍼灸学会雑誌第58巻5号.2008年.
山口創.「身体接触によるこころの癒し~こころとからだの不思議な関係~」.全日本鍼灸学会雑誌第64巻3号.2014年.

“愛情ホルモン”「オキシトシン」

オキシトシンは、
別名 “愛情ホルモン” ・ “抗ストレスホルモン”
ともいわれています。

〈オキシトシンの作用〉
・不安や痛みをやわらげる
・リラックスさせる
・血圧や心拍数を下げる
・成長ホルモンの分泌をたすける
・母性的な行動をうながす
・警戒心をゆるめ、他者と関わりやすくする

赤ちゃんが生まれてから、親御さんと沢山スキンシップをすることにより、
赤ちゃんは、
オキシトシンの影響を受けやすくなり、
成長がうながされ、ストレスにも強くなり、
親御さんへの愛情や信頼がわき、
大人になってからも人を信頼しやすくなる、と考えられています。

また、お母さん側は、
母性本能が刺激され、子どもへの愛情が深まり絆を強くする、
と考えられています。

オキシトシンは、
「母乳を出す」
「赤ちゃんがお腹にいるあいだに広がった子宮を元に戻す」
ためにも働きますので、
赤ちゃんを抱っこしてお乳をあげる、ということは心身ともに大きな影響があります。

大人になってからも、親しい人とのスキンシップはオキシトシンを分泌しやすくしますし、
マッサージなどでリラックスすることにも、オキシトシンも関係していると考えられています。

子どもさんの成長を応援する「小児鍼」

小児鍼(しょうにはり・しょうにしん)とは?

子どもさん向けの “刺さない鍼” を使った施術です。

イチョウの葉っぱの形をしたものや、
ローラー状のもの、先の丸い棒状のもの…など、
鍼の形は様々です。

この“刺さない鍼”で、皮膚を優しくさする様にして刺激を与えます。
(※小児鍼の方法は施術者によって異なります。大人と同じ鍼を使う場合もあります。)

お子さんのイライラ、チック、おねしょ、便秘、
胃腸が弱い、風邪をひきやすい、ぜんそく、アトピー…など、
様々な不調のほか、
健やかな発育をうながしたり、健康を維持したりするためにも行われています。

小児鍼をすると、なぜ良いの?

・自律神経を整える
・免疫力を上げる
・血行を良くする
・成長に必要なホルモンを調整する
・脳への刺激になる

また、
「子どもさんの体調や機嫌が良くなると、親御さんのストレスも減る」

「親御さんがニコニコ → 子どもさんもニコニコ」

といった “親子のココロとカラダの好循環” にもつながります。

おわりに

皮膚は、「言葉に出さない感情も感知しているのでは」とも考えられています。

もし、子どもさんや大切な人が悩んでいるとき、
不安そうにしているとき、緊張しているとき、
イライラしているとき、なんと声をかけてあげたらよいかわからないとき…
優しく抱きしめてあげてください。

抱きしめるのが気恥ずかしかったり、相手が抱きしめられることが苦手な人だったら、
肩や背中に手を当ててあげたり、手を握ってあげたりしてください。

そして、
「大丈夫だよ」
「ここに居ていいんだよ」
「あなたはあなたでいいんだよ」
「大切に想っているよ」
「愛しているよ」
という温かい気持ちを込めて、触れてあげてください。

皮膚から伝わる温かさや優しさが、
安心感や励まし、受けいれてもらっているという自己肯定感として、
その人のココロに届くのではないでしょうか。

「触れる」という無言のコミュニケーションを、大切にしてあげてみてください。

<参考資料>
傳田光洋.『皮膚は考える』.岩波科学ライブラリー112.2005年.
尾崎朋文・山口創・米山榮.『実践 小児はり法 子どもの健やかな成長へのアプローチ』.医歯薬出版株式会社.2012年.
山口創.「皮膚感覚-皮膚と心の身体心理学」.全日本鍼灸学会雑誌第58巻5号.2008年.
山口創.「身体接触によるこころの癒し~こころとからだの不思議な関係~」.全日本鍼灸学会雑誌第64巻3号.2014年.

Profile
菅原 美幸
ライター 鍼灸師 at ERP下鴨南治療院 接骨・鍼灸

学校法人森ノ宮医療学園
ERP下鴨南治療院 接骨・鍼灸
保有資格:鍼灸師、アロマセラピスト、健康美容食育士、ファスティングマイスター
中医学にもとづいた鍼灸施術、食養生などのアドバイスも行っています。

ERP下鴨南治療院 接骨・鍼灸
鍼灸部門では、お体の「鍼灸施術」、お顔の「美容鍼」、子どもさんの「小児鍼」、経絡を整える「アロマオイルトリートメント」を行っています。
また、接骨部門ではスポーツの怪我のケアやトレーニング指導も行っています。

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Profile
運営者/編集者/ライター at 株式会社みのりの森

株式会社みのりの森 代表取締役
NPO法人Reframe 代表理事
凸凹じぶんなび とことこ 製作者/運営者/編集長/ライター
発達障がい専門誌きらり。 発行者/編集長/ライター
発達障害(ASD/ADHD)当事者
双極性障害当事者
発達障害の支援を中心に、会社を経営。
NPOでは不登校、発達障害、HSPなどの生きづらさを抱えた子どもと若者の居場所づくりをしている。

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