1. HOME
  2. ブログ
  3. わたしらしい生き方
  4. 「セクシュアルマイノリティと発達障害」について

「セクシュアルマイノリティと発達障害」について

はじめに

発達障害やLGBTQ(セクシュアルマイノリティ)が、
ドラマや映画のテーマとして取り上げられるようになり、徐々に認知度も高まって来ました。
またSDGsにも「誰一人取り残さない」と誓約されていることで、
発達障害やLGBTQ(セクシュアルマイノリティ)の人にも光が当たって来ていると感じています。

別々の無関係なものと考えていたものやことが、
実は関係していたという経験はありませんか?

発達障害とLGBTQ(セクシュアルマイノリティ)をそれぞれわかりやすく解説するとともに、
日々のヒアリングから感じた発達障害とLGBTQ(セクシュアルマイノリティ)の関連性についても
独自の調査を基に、掘り下げてみたいと思います。

LGBTQ(セクシュアルマイノリティ)や発達障害の当事者にも、
またこれらの人と接する機会をお持ちの多くの方にも、
この二つの関連性について、認識していただくことで、
多くの方が救われるかもしれないと思っています。

「私はセクシュアルマイノリティだから、この世の中で生きにくいんだ」
と感じている方も、
実はその生きづらさが発達障害由来のものかも知れないのです。

発達障害はうつ病や適応障害、双極性障害など二次障害を生み出すことは広く認知されています。
しかし、セクシュアルマイノリティと関連していることは、あまり知られていないのではないでしょうか?

LGBTQ(セクシュアルマイノリティ)と発達障害のダブルマイノリティに苦しんでいる人々が
少しでも生きやすい世の中になるために私が出来ることは
発達障害とLGBTQ(セクシュアルマイノリティ)が関連しているということを広く知らしめることだと思い、筆を執りました。

LGBTという言葉

LGBTもしくはLGBTQもしくはLGBTQ+という言葉を
皆さんは聞いたことがあると思います。

電通の2021年の調査によると、
80.1%の人々が認知しているということが分かっています。

これらはセクシュアルマイノリティを現す言葉です。

実は、このLGBTという言葉は
2つの異なるレイヤーが組み合わさって出来た言葉なのです。

Lはレズビアン(自分が女性で恋愛対象も女性の人)。
Gはゲイ(自分が男性で恋愛対象も男性の人)。
Bはバイセクシュアル(自分の性別は関係なく、男性も女性も恋愛対象の人)。

LGBのこの3つは
自分の性別が何でどんな性別が好きなのかという、自分の性別と性的指向を表現する言葉なのです。

そして

Tはトランスジェンダー(生まれながらの体の性別と心の性別が異なる人)。

つまりTは性自認を表現する言葉なのです。
どんな性別の人を好きになるかという性的指向と自分の心の性別を表す性自認は別のものとも言えます。
異なる2つのレイヤーをひとつの単語にし、
セクシュアルマイノリティの代名詞のようなLGBTという言葉が、
セクシュアルマイノリティ自体を分かりにくくしているかも知れません。

近年ではLGBTQ+と言われることも増えて来ました。
LGBTの後についたQ+とは何なのでしょうか?

Qは、クイア(奇妙な:元々セクシュアルマイノリティを差別する言葉)
もしくは、クエスチョニング(いまだハッキリとしない、わからない)

を意味しています。
つまり、性的な違和感を感じているけど、
どこの分類に所属するのか判断つきかねない状態の人々を指します。

+というのは、その他を意味しています。

性的指向と性自認を表であらわすと次の様になります。

【表1:セクシュアル・オリエンテーションとジェンダー・アイデンティティ】

正確にはもっと複雑ですが、
いったん、表1のようになっていると思ってください。

よくある勘違いに、
性自認が男性の人の恋愛対象は女性だというのがあります。
性自認が男性でも恋愛対象が男性の人もいます。
性自認が女性だからゲイになっているとは限らないのです。

性的指向のことを
セクシュアル・オリエンテーションと呼び、
性自認のことをジェンダー・アイデンティティと呼びます。

セクシュアルマイノリティだけでなくマジョリティをも包括する言葉として、
これらの頭文字を取ってSOGI(ソジ)と呼ぶこともあります。

生まれながらの身体の性と性自認が一致する人のことをシスジェンダーと呼び、
異性を愛する人のことをヘテロセクシュアルと呼びます。
SOGIにはこれらマジョリティも含まれるのです。

また、バイセクシュアルと混同されがちなのですが、
相手を性別で一切見ないで好きになったらどんな性別でも気にならないパンセクシュアル(P)という性的指向もあります。

反対に誰も愛せないという無性愛者をアセクシュアル(A)と呼びます。
男でも女でもある(もしくは男でも女でもない)性自認をノンバイナリー(Xジェンダー)と呼びます。
LGBTQ+の+には、LGBTQ以外の多様なセクシュアリティが含まれているのです。

自分について

2021年に宇多田ヒカルさんはご自身がノンバイナリーであることを告白されました。
ノンバイナリーとは、
男性とか女性とかどちらか一方の性に決めかねる性別を意味します。

実は私もノンバイナリーです。
日本ではXジェンダーという呼び方の方が浸透しているかも知れません。
海外ではノンバイナリーと呼ばれます。

小さい頃から私は女友達とばかり遊んでいました。
おままごとに着せ替え人形、塗り絵です。
時々ウルトラマンや仮面ライダーの玩具でも遊んでいました。

小学校に入るとクラスの男の子たちは、野球やサッカーに夢中になりました。
ですが、私はそれらに興味がありませんでした。
誕生日にグローブを買ってもらった時は、複雑な心境でした。
みんなが「少年サンデー」や「少年チャンピオン」を読む中、
私の愛読書は「花とゆめ」や「ララ」でした。
一人称も「うち(関西では女の子の一人称)」で、
親から女みたいだからと言われ「ぼく」に直させられました。

周りの女の子を眺めては、
私も可愛い恰好をしてみたいと思っていました。
中学生になった頃の私の夢は、
大人になったらお金を貯めて性転換手術を受けることでした。

しかし、そうはなりませんでした。
実は幼稚園から中学卒業までイジメを受けていて、男性が怖かったのです。
女性になったら男性とお付き合いしなきゃいけないと何故か思い込んでいて、
男性が怖いから性転換手術をする必要が無いと判断したのです。
後になってみればこの判断は良かったと思います。
私の性自認は完全な女性ではなくノンバイナリーだったからです。

2021年宇多田ヒカルさんの告白より半年ほど前に、
ノンバイナリーという性自認があることを知った時、ストンと腑に落ちました。

今では、自分の性自認を人に伝える時、
トランスジェンダー寄りのノンバイナリーと伝えています。

心の中の2つのメーター

誰しもが心の中に2つのメーターを持っています。
男メーターと女メーターです。
それぞれが0から100までの数値を指します。
別々に動くメーターなので、足して100になるとは限りません。
足して200になる人もいれば、足して0という人もいる可能性があります。

私は男メーターが40くらい、女メーターが85くらいを指す、
トランスジェンダー寄りのノンバイナリーだと自認しています。

「俺は男だ!だから男メーター100で女メーター0だ!」
と思っている人でも、
意外と男メーターが80くらいで女メーターが30くらいを指している可能性もあるのです。

「私は女よ!」
って方も調べてみたら、
男メーターが50くらいで女メーターが40くらいと逆転している方もいらっしゃいます。

脳をいくつかのブロックに分け、
それぞれが男性ホルモンの影響を受けているのか女性ホルモンの影響を受けているのかを判断する方法について
イスラエル大学で研究が進められているようですが、
簡易的にお遊びとして、自分の中の男メーターと女メーターを数値化できるサイトがあります。

ジェンダー座標テスト
というサイトです。

興味があれば一度試してみてください。

ジェンダー座標はホルモンのバランスなどにより、日によって変化する人もいます。
また前述しましたが、女メーターの数値が高いからといって男性が恋愛対象になるとは限りません。

そして一番大事なこと、
性自認はあくまでも主観的なものなのです。
なので、結果がどうであれ私は〇〇だと感じていれば、それがあなたの性自認になるのです。

セクシュアルマイノリティのパターン

最初の表1では
いったん、LGBとTがどこに位置づけされるのかを見てもらいました。

次は、セクシュアルマイノリティにはどれくらいの種類があるのか、
ざっと見てもらたいと思います。

【表2:セクシュアルの種類】

この表には、
セクシュアルマイノリティではない、セクシュアルマジョリティつまり、
シスジェンダー(身体と性自認が一致)かつヘテロセクシュアル(異性愛者)の人も含みます。
身体は4パターンに分類されますが、それ以外は5パターンに分類されます。
つまり、組み合わせは全部で2500パターンのセクシュアルがあるということになるのです。

さらに注意しなくてはいけないのは、
ジェンダーもセクシュアリティも、すべてが1か0の世界ではなく、
グラデーションになっている点です。

例えば
恋愛対象は男でも女でもないけれど、強いて言えば男
(普段は誰も好きにならないけれど、過去に一度だけ男性に恋愛感情を抱いた事がある)
という人もいます。
なので、組み合わせは無限大ですね。

恋愛対象とセックス対象の性別を身体で見るか性自認で見るかでも、
その人が表のどこに該当するかが変わってきます。

私は身体は男性ですが、性自認は女性寄りのノンバイナリーです。
セックス対象は女性なので、自分のことをレズビアンだと思っています。

レズビアンという言葉ですが、
ゲイという言葉と同様に、
身体の性別なのか性自認なのか明確ではない上、
恋愛対象のことなのかセックス対象のことなのかも不明確な言葉なのです。

ロマンティックとセクシュアル

「恋愛対象とセックス対象が異なるなんて!」
って思う人もいるかも知れませんが、
恋愛対象とセックス対象は厳密には異なるのです。

恋愛対象が女性の場合、ウーマロマンティックと呼び、
セックス対象が女性の場合、ウーマセクシュアルと呼ぶこともあります。

〇〇ロマンティックは恋愛対象について、
〇〇セクシュアルはセックス対象について言及しています。

男性が対象の場合、それぞれマロマンティック、マセクシュアルと呼びます。

恋愛対象は男と女の両方(バイロマンティック)だけど、
セックスは男性とだけ(マセクシュアル)って人もいるのです。

また男にも女にも恋愛感情を抱けない人(アロマンティック)もいますが、
セックスはするってパターンもあるのです。

さきほど、すべてが1か0じゃなくグラデーションだと書きました。

私のパートナーは
アロマンティック(男性にも女性にも恋愛感情を抱かない)が強めのウーマロマンティック(恋愛対象が女性)で、
マセクシュアル(セックス対象が男性)です。

こうして見るとセクシュアルの組み合わせは無限大、人それぞれですね。

MtX?FtM?

読者の中には、
MtXとかFtMという文字を見たことがある方もおられるかも知れません。

これらの言葉は
生まれながらの身体の性別と性自認を表しています。

MtXはメールトゥエックス、
つまり生まれながらの身体の性別は男性だけど、性自認はXジェンダー(ノンバイナリー)。

FtXは生まれながらの身体の性別が女性のノンバイナリーです。

FtMやMtFはトランスジェンダーを表す言葉です。
FtMは生まれながらの身体の性別が女性で性自認が男性、
MtFは生まれながらの身体の性別が男性で性自認が女性です。
この場合、性転換手術をしているかしていないかは関係ありません。

t(to)が入っているからややこしいのですが、
MtXもFtMも途中で性自認が変わった訳でなく、
生まれつき性自認がノンバイナリーだったりトランスジェンダーだったりします。
性自認は先天的な要素が強いと考えられています。

性自認と恋愛対象

先に述べたように、
性自認が男性だからと言って恋愛対象が女性とは限りません。

男性として男性を好きな方もいますし、
女性として女性を好きな方もいます。
また性自認が男性で恋愛対象は両性という方もいるのです。
性自認と恋愛対象は一見無関係な様にも見えます。
そこにはルールが存在しません。

とはいえ、
セクシュアルマイノリティの方105名にアンケートを取った結果、
以下の様な傾向があることは分かりました。

【表3:性自認と恋愛対象の関係】

 

性自認が男性でも女性でもあるノンバイナリー(Xジェンダー)のうち
56%がバイロマンティック(男性にも女性にも恋愛感情を抱く)であり、
性自認が男性でも女性でもない人(実はこれらの人もノンバイナリーに属しています。本書では便宜的にノージェンダーとします)のうち
38%がアロマンティック(他人に恋愛感情を抱かない、もしくは抱きにくい)だったのです。

性自認と恋愛対象の間には緩い関係があるのかも知れません。

セクシュアルマイノリティで性自認が男性の人の56%が男性を愛し、
性自認女性の人の48%がバイロマンティックというのも面白い結果です。

Qというのはクイアやクエスチョニングと言って、
まだわからないもしくはどれにも当てはまらないと感じている人たちです。

表の見方は縦(M,F,XG,NG,Q)が性自認で、横(M,F,BR,AR,Q)が性的指向です。

セクシュアルマイノリティの人が困っていること

人によっては全然困ってないって方もいるのですが、
セクシュアルマイノリティの人が困っていることには
以下の様なものがあります。

  • 性別欄に男と女しかなく、どちらかに〇を付けなくてはいけない。自分は女だって思っていながら男に〇を付ける悲しみや諦め。
  • 服装で男女の違いがある。特に学生服。スカートなんて履きたくないって声もよく聞きますね。
  • 授業で体育の着替え時や、温泉などで服を脱ぐとき。異性と認識している人たちの中で着替える心細さ、恥ずかしさ。
  • セクシュアルマイノリティであることを周囲に認めてもらうために、セクシュアルマイノリティのステレオタイプを演じなければいけない(例えば、おねぇ言葉を使ったり、面白い返しが出来ないといけないと思っていたり)
  • セクシュアルマイノリティであることを打ち明けたり相談できたりする相手が見つからない。

特に、多感な思春期の子どもたちにとって、
セクシュアルマイノリティの困りごとは深刻なようです。

誰にも相談できず一人で抱え込んでしまっている人が多いのです。
否定された時のことを考えると、特に親には言いだす勇気が出せません。

勇気を出して親に相談しても、
「そのうち正常に戻るよ、一時的なものだよ」
と否定されて傷つく子どもたちも多いのです。

ネット等でアライ(セクシュアルマイノリティの理解者や支援者のこと)であることを表明する
アライキーホルダーやアライバッジが売られています。

そのようなものを付けていたら安心して相談できると思います。
普段からセクシュアルマイノリティを否定するような言葉を発しないよう気を付けるというのも重要です。

本人が勇気を出してカミングアウトしてくれたら、
「正直に話してくれてありがとう」
と言ってあげてください。

本人の許可なく保護者や第三者に伝えることは、やめてください。
本人の了解を得ずに、他の人に性的指向や性自認について話すことは
アウティングと呼ばれ、傷つける行動です。

3つのステージ

セクシュアルマイノリティには
過去、現在、未来の3つのステージがあると考えています。

過去は、
セクシュアルマイノリティがキワモノ扱いされていた時代。
芸能人ぐらいでしか見たことが無かった時代。
セクシュアルマイノリティが珍しかった時代。

現在は、
セクシュアルマイノリティが身近になった時代。
そしてセクシュアルマイノリティがカテゴライズされることで理解と納得が進む時代。
たくさんのカテゴリーが生まれ、性の多様性に気付く時代。

未来は、
カテゴリーが意味を失って、一人ひとりの個性として認められる時代。

前述で2500パターンもあるって書きましたが、
カテゴライズすることに意味がないとする意見も少なくありません。

私は、カテゴライズすることで整理され、
こんなセクシュアルもあるのだって発見できることが、理解を進める助けになっていると感じています。
またなんとなく性に違和感を感じていたけれど、
新しい概念を知ることで、自分の居場所を見つけて安心できる人も出てきています。

グラデーションの世界

ClubhouseというSNSで
セクシュアルマイノリティのコミュニティと、
発達障害者のコミュニティに属していました。

そこで、両方のコミュニティに所属している共通メンバーが多いことに気付きました。

共通点は、どちらの世界もグラデーションであるということ。
多様性が重要視されつつある現代において、無視できない存在であること。
でも、どちらにも所属するメンバーの多さは、それ以外にも関係性があることを語っているように感じました。

そこで、私は
セクシュアルマイノリティの人たちに、
発達障害を合わせ持っているかアンケートを取ってみることにしました。

【表4:性自認と生まれながらの身体の性別】

セクシュアルマイノリティ105人中、発達障害の診断を受けている人は17人(16%)。
診断を受けていないが疑いがあると回答した人を含めると54人(51%)と、
セクシュアルマイノリティの半数が発達障害を感じているという結果でした。

一般的には発達障害者の割合は6.5%~10.0%と言われていますので、
やはりセクシュアルマイノリティの人はセクシュアルマジョリティ(シスジェンダーかつヘテロセクシュアル)の人と比較して、
発達障害を抱えている率が高いことが分かります。

発達障害だからセクシュアルマイノリティなのか、
セクシュアルマイノリティだから発達障害なのか?
その因果関係はまだわかりません。

今後このあたりの研究が進むことを願います。

どちらもグラデーションかつ多様で困っている人がいるという共通点があります。
例えば、
セクシュアルマイノリティのコミュニティで解決した課題を、
発達障害のコミュニティに応用したり出来るようになれば素敵ですね。

発達障害とセクシュアルマイノリティについて

セクシュアルマイノリティの方々へのアンケート結果からは、
ADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けている方が最も多いことが分かります。
次いでASD(自閉スペクトラム症)です。

その他発達障害に関しては、
アンケート文に吃音やチック症という言葉を入れなかったので、
発達障害以外(パーソナリティ障害など)の障害の方が回答してしまっている可能性があると思われます。

セクシュアルマイノリティだけでも、発達障害だけでもそれぞれ生きにくいのに、
ダブルでマイノリティの方が多いことに驚きました。

アンケート結果の表中の下記はは性自認を意味します。
SG(シスジェンダー)
TG(トランスジェンダー)
XG(ノンバイナリーもしくはエックスジェンダー)
NG(ノージェンダー)
Q(クイアもしくはクエスチョニング)
M(男性)
F(女性)

ASD(自閉スペクトラム症)と診断されている7人中6人(86%)がM(男性)で、
LD(学習障害)と診断されている3人中3人(100%)がM(男性)で、
ADHD(注意欠如・多動症)と診断されている9人中6人(67%)がF(女性)で、
その他発達障害(吃音、チック症など)と診断されている5人中3人(60%)がF(女性)です。

【表5:発達障害と生まれながらの身体の性別】

ASD(自閉スペクトラム症)は男性に多いとされているので、
アンケート結果とも合致するのですが、
性自認で見てみると、男性は2人(8%)と少なく、
女性とノンバイナリーはどちらも8人(33%)と多いのが興味深い結果となりました。

発達障害と性自認A

表11から表15は、
シスジェンダー(生まれながらの身体の性別と性自認が一致している)か
トランスジェンダー(生まれながらの身体の性別と性自認が一致していない)かに
焦点を当てて表にしたものである。

105人中、発達障害の診断を受けている人17人・・・①
105人中、発達障害の疑いを持っている人37人・・・②
105人中、発達障害の疑いもしくは診断を受けている人54人・・・③

【表6:発達障害と性自認】

105人中、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けている人7人・・・④
105人中、ASDの疑いを持っている人17人・・・⑤
105人中、ASDの疑いもしくは診断を受けている人24人・・・⑥

【表7:ASDと性自認】

105人中、LD(学習障害)の診断を受けている人3人・・・⑦
105人中、LDの疑いを持っている人19人・・・⑧
105人中、LDの疑いもしくは診断を受けている人22人・・・⑨

【表8:LDと性自認】

105人中、ADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けている人9人・・・⑩
105人中、ADHDの疑いを持っている人30人・・・⑪
105人中、ADHDの疑いもしくは診断を受けている人39人・・・⑫

【表9:ADHDと性自認】

105人中、その他の発達障害(吃音、チック症など)の診断を受けている人5人・・・⑬
105人中、その他の発達障害の疑いを持っている人18人・・・⑭
105人中、その他の発達障害の疑いもしくは診断を受けている人23人・・・⑮

【表10:その他の発達障害と性自認】

発達障害と性自認B

表16から表19は
性自認が男性か女性かに焦点を当てて表にしたものである。

【表11:ASD(自閉スペクトラム症)と性自認B】

【表12:LD(学習障害)と性自認】

【表13:ADHD(注意欠如・多動症)と性自認】

【表14:その他発達障害(吃音、チック症など)と性自認】

 

性自認と発達障害

発達障害は先天的なものです。
SNSを通じて色々な方とお話をした結果や自身の経験を踏まえて、
性自認は「先天的」で
性的指向は「後天的」な要素が強い
と考えるようになりました。

そこで、
生まれながらの身体の性別に着目して、
性自認に違和感があるかどうかと、
性的指向に違和感があるかどうかについて、
発達障害と定型発達を比較して関係性について調べてみました。
(定型発達とは発達障害でない人のことを意味します。)

【表15:性自認と発達障害】

【表16:性的指向と発達障害】

結果は、
ヘテロセクシュアル(性的指向に違和感がない人)よりシスジェンダー(性自認に違和感がない人)の方が、
定型発達は明らかに大きい数字となりました。

また、
性自認に違和感がある人が発達障害である確率が高いことも判りました。

これらのことから
性自認と発達障害にはなんらかの関連性があると思われます。
今後の研究に期待したいと思います。

発達障害者と定型発達者のセクシュアルマイノリティの違い(生まれた時の身体基準)

また、
発達障害者と定型発達者で
セクシュアルマイノリティにどのような差異が生じるのかを
性自認と性的指向で細かく見てみました。

異性愛や同性愛の判断基準を生まれた時の身体の性別基準で見てみます。

【表17:定型発達者のセクシュアルマイノリティの内訳】

【表18:発達障害者のセクシュアルマイノリティの内訳】

【表19:発達障害者-定型発達者】

結果、
ヘテロロマンティック(異性恋愛者)のXジェンダーは、
発達障害者に見られる特徴であることが分かりました。

定型発達者に多いのはシスジェンダー(性自認に違和感がない人)で
レズビアンやゲイなどの同性愛者(恋愛もセックスも)であることが分かりました。

最後に

ここまでで述べたように、
セクシュアルマイノリティと発達障害には関連性がありそうですが、
セクシュアルマイノリティ=発達障害ではありません。

セクシュアルマイノリティも発達障害も、
それ自体が障害では無いということも大切な考えです。

障害は、セクシュアルマイノリティを認めない社会側にあると思います。

この資料が
一人でも多くの当事者の目に留まり、その人の安堵に繋がれば嬉しく思います。

そして
一人でも多くのセクシュアルマイノリティや発達障害の研究者の目に留まり、
新しい気付きや理解の進展のきっかけになれば嬉しく思います。

そして、
セクシュアルマイノリティや発達障害の方々と接する機会のある多くの方の目に留まり、
会話のきっかけになれば嬉しく思います。

アンケートも105人(有効回答)と統計的には少なく、
異論もあるかと思います。
そんな異論も含めて、何かしらの始まりになれば、投稿した意味があったと思えます。

マイノリティの方々が生きやすい世の中になりますように。

Profile
寺田幸弘

専門商社勤務。
(公財)共用品推進機構から共著で2冊出版(「弱視者の日常不便さ調査報告書」&「子どもの日常不便さ調査報告書」)。
自身がセクシュアルマイノリティでもあり、発達障害者でもある。

関連記事