まるこそだて vol.2/12回
大人しい赤ちゃん 。
そう思って育てていた長男 育てやすくて、じっとしている長男になんの疑問も感じなかったわたし。
そんな、のんびり子育てをしている頃、1歳半検診にいくことになりました。
1歳半検診は地域の保健センターで行われるもので、
保健師さんの真似をして積み木を積んだり、絵を見せて「犬はどこかな❓」と指差しを、子どもに促したりする内容があった。
長男はどれにも興味を示さない。
指示されることに、ポカンとした表情を浮かべていたけれど、私も初めての子育てで、それがおかしいとは1ミリたりとも思わなかった。
他にも同じ歳の子たちも来ていただろうに、それすら我が子と差があったかどうかも、今思い返しても、全然思い出せない。
私にとって、長男の成長は〝普通〟の範ちゅうだった。
でも、まだ1歳半をすぎてほとんど話さないこと、できていたバイバイをしなくなったことを保健師さんに告げると、まさかの発達相談の部屋に通された。
そこにいた臨床心理士の先生は、長男に色んなテストをしてくれたけど、そこでも長男は、
どれにも興味を示さなかった。
そして見事に、心配だからと、別の日に児童福祉センターというところで、発達検査を受けることを促された。
え?長男に、もしかしたら障がいがあるの?
その日の帰り道、どうやって帰ったか、一番に誰に連絡をしたのか、全然思い返せない。
それくらいの衝撃の出来事だった。
長男に障がいがあったらどうしよう。
なんで、お母さんやのに気付けなかったんやろう。
なんでうちの子なんやろう。
帰ってから、親友と電話をして、子どもを産んでから、初めてくらいにワンワン泣いた。
なんで長男がそんなこと言われなあかんのや。
感情のまま話していたような気がする。
親友も一緒になって泣いてくれた。
でも、その時泣いたことで意外にスッキリして、何となく前を向こうと思えて、泣くのはもうやめようと思った。
夫は、
「長男は長男なりに、ゆっくり成長してくれると僕はそう思ってる」と言った。
私より1年早く子育てをしている妹は
「もし障がいがあっても、長男は長男。可愛いのには変わらへんやん」と、言ってくれた。
今考えれば、あの日、親友、夫、妹がかけてくれた言葉が、今もずっと続いているし、支えになっている。
検診が終わってからは、いろんな情報が欲しかったのと、できることは何でもやりたいと思い、周りの人に相談をするように心がけた。
そうすると、情報をくれる方がいたり、自分の親族が発達の障がいを持っているとか、知らなかったことを沢山教えてくださったり、共感してくれる人に本当に支えられた。
この時期、男の子の子育てっていうのは、活発にやんちゃに大きくなって、中学くらいで思春期になって、クソババァとか言われたりして(笑)、何か好きなこと見つけて学校に行って、社会人になって結婚するんかな…と思っていた自分に、気付かされた。
それは、子どもの将来に勝手にレールを敷いていた自分だった。
どう生きるかは、その子次第。
今ならそう思うのに、その時までは〝普通〟そうやろうという、掴みどころのない縛りに、縛られて生きてきた自分と向き合うことになったのだ。
〝普通〟
今までそう感じてきたことの価値観が、ガラッと長男の子育てによって変えられた。
でも自分の価値観が変わっていく過程の中でも、長男に障がいがあるかもしれない現実を受け入れるには時間がかかったし、今も受け入れられない日もある。
1歳半検診が終わった時期から、どうしても同じくらいの子どもがいる場所へお出かけをすることへ、何となく抵抗があった。
それでも揺るぎなかったことは、長男が可愛くて仕方なかったことで、自分自身が下を向くことはなかったように思う。
続く