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発達障害って、なんだろう?

発達障害とは

「生まれつき脳の発達に障害があること」を総称して、「発達障害(神経発達症)」といいます。
「幼児」のうちから症状が現れてくることが特徴で、子育てがうまくいかなかったり、対人関係やコミュニケーションに困難がみられたり、落ち着きがなかったりと、さまざまな困りごとがみられます。
近年では、大人になってから発達障害と診断される方が増加しています。
仕事や家事がうまくいかず、うつ病や適応障害などの二次障害を発症したことがきっかけで発達障害が発見される場合も多々あります。
発達障害は「治る」ものでも「治す」ものでもありません。
しかし、私たちは、日々の「工夫」と適切な「トレーニング」をすることで、さまざまな特性を適応させていくことができます。
大事なことは、その人がどんなことができて、何が苦手なのか、どんな魅力があるのかといった「その人」に目を向けることです。
発達障害の「特性」をしっかり理解していくことが、「自分らしく生きる」ための第一歩です。
ぜひ、一緒に学んでいきましょう。    

発達障害は「生まれつきの特性」

発達障害(神経発達症)は、「生まれつき脳の一部に機能障害がある」といわれています。
主に3つのタイプに分類されていますが、いくつかのタイプを併せ持っている場合もあります。
そのため、同じタイプの特性を持っていても、似ていないことが特徴です。
「個人差」が大きい障害だからこそ、ひとり一人が「自分の特性」をしっかり把握することが重要になってきます。

治療方法はほとんどない

発達障害(神経発達症)には、薬が数種類あるだけで治療方法がほとんどありません。
そのため、特性に応じた療育や薬物療法などをしながら、生活環境を整え周囲の協力を得ていき、社会全体でサポートしていくことが大切になります。

検査を通して、総合的に診断する

発達障害(神経発達症)はまだ解明されていないことが多く、明確な検査や診断基準はありません。
そのため、面談やチェックリスト、認知・知能などの心理検査などを通して、総合的に診断していきます。
診断には、アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル「DSM-5」や世界保健機関(WHO)の「ICD-10」(『国際疾病分類』第10版)による診断基準などが用いられています。
日本の医療機関では、この両方の診断基準を用いるのが一般的です。
このホームページでは「DSM-5」で定められている名称で説明をしていきます。

 

特性は主に3つ ASD・ADHD・SLD

発達障害(神経発達症)は、それぞれの特性によって、大きく3つに分類されています。
それぞれの詳しい説明は、また別の記事でご確認ください。

① 自閉スペクトラム症(ASD)詳細はこちら
② 注意欠如・多動症(ADHD)詳細はこちら
③ 限局性学習症(SLD/LD)  詳細はこちら

この他にも、いろんな特性によって分類されています。
・知的能力障害群…知的発達症、全般的発達遅延 など
・コミュニケーション症群…言語症、語音症、小児期発症流暢症(吃音)社会的コミュニケーション症 など 
・運動症群…発達性協調運動症、常同運動症
・チック症群…トゥレット症、チック症 など          
 など

リンク
厚生労働省e–ヘルスネット  
国立障害者リハビリテーションセンター研究所「吃音について」
NPO法人日本トゥレット協会
参考文献
DSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版) 精神神経学雑誌 第 116 巻 第 6 号(2014) 429‒457 頁

誤解しないで!4つのこと

診断名はいろいろ、困難さもみんなちがうもの

× 軽度発達障害は、軽い障害である
× 知的障害を伴う自閉症は、発達障害にはふくまれない
× 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD/LD)だけが発達障害だ

以前は、知的な遅れを伴わない発達障害を「軽度発達障害」ということがありました。
しかし、知的な遅れがない人の中にも、深刻な困り感をもっている場合があります。
そのことから、「障害そのものが軽度」と誤解される可能性があるため、「軽度発達障害」ということばは、使わないように通達が出されています。(平成19年3月に文部科学省から)

ゆっくり、マイペースにずっと成長する

× 発達障害はずっと発達しない
× 発達障害はそのうち何とかなる

発達障害は発達のしかたに生まれつき凸凹がある障害です。
人間は、一生かけてずっと発達していく生物です。
個人差はありますが、みんな「ゆっくりマイペースに」成長します。

「発達障害はひとつの個性だから、配慮は必要がない」と考える人も出てきていますが、それは間違いです。
その子にあったペースで適切な支援と配慮を行っていくことで、のびのびと成長することができるのです。
みんなが「障害をもちつつも、適応していく」という視点をもって見守っていきたいですね。

その人に合った、適切な支援を

× 本人の好き勝手にさせておけば、なんとかなる
× 有名なトレーニングをすれば、行動はよくなる

発達障害の人は、「きちんと教えてもらうこと」「きちんと止めてもらうこと」が必要です。
あいまいに、「たぶんこれでいいはず」ではいけません。
もちろん、その人に合ったやり方で、工夫して教えることも必要です。

その反対に、よかれと思って一方的に有名なトレーニング方法で教えても、その人に合った方法でなければ改善していきません。
何に困って、何につまずいたのか、把握した上で支援することが必要なのです。

支援者の中には自分が今までにつちかってきた手法が、どの発達障害者の支援にもよいはずだという思いこみをもってしまう人がいます。
しかし、「目の前にいる発達障害の人にとって、合っているか?」は、その都度見直す必要があります。
思い込みを捨て、一人ひとりを見つめていきましょう。

外の社会で学び、成長する

× パニックをおこす子どもは外出させてはいけない
× 発達障害の子が騒ぎ出したら、大勢でおさえつける

発達障害の子どもも、外の社会に出て行くことでさまざまなルールを学んでいきます。
時には、子どもが騒いだりパニックを起こしたり、寝転んだりと、困った行動をしてしまうこともあります。

周囲の人は「なぜ親は厳しく叱らないんだ」「ちゃんとしつけしないんだ」とイライラしてしまうかもしれません。
しかし、そういう時に発達障害の子どもを叱って無理におさえつけても解決しません。
「少し見守ってあげる」「待ってあげる」だけで、早く落ち着くことができるのです。
危険な場所にいる時には、周囲の人の手助けで移動させることは必要ですが、そうでない場合は、周囲の人とともに見守っていけるとベストですよね。

ひとりで悩まず、相談しよう

発達障害は個人差が大きいため、明確な治療方法が今のところありません。
いろんなことに迷ったり悩んだりすることも多いでしょう。
そのため、子育てにも、日常生活にも、仕事にも支援機関があります。
それぞれの悩みに合わせて、サポートを受けていき、「ひとりで悩まない」ことが大切です。

医療・相談機関へ行くときはメモと資料をもって行こう!

発達障害かどうかを診断したり判断したりする際には「生育歴」が重要な情報となります。
相談したいことは整理してメモに書いてから医療や相談機関へ行きましょう。

<メモ>※年表にしてあるとわかりやすいですよ。
 ・相談しようと思ったきっかけは? 
 ・卒業した学校は?(小中高大)
 ・それぞれの時期の困りごとや特徴は?
 ・就職先、勤続年数は?どんな仕事?
 ・得意なこと、苦手なことは?
 ・今困っていることは? 

<資料>
 ・母子手帳
 ・小中学校の通知表
 ・小学校や中学校で書いた作文
 ・幼少時の様子を記録したビデオ
 ・過去に受けた知能検査などの心理検査の結果
 ・育児日記 など

<その他>
成人した方が相談する際にも、できれば本人の幼少期の様子を知っている養育者に同伴してもらうと、診断がスムーズです。

相談は、全国にある発達支援センターへ

発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。
都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。
保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、さまざまな相談に対応しています。
詳しい事業内容については、お住まいになっている地域の発達障害者支援センターに問い合わせください。

全国の発達障害者支援センター 一覧はこちら

参考
政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」
厚生労働省 
発達障害情報・支援センター
発達障害者教育情報センター
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
Profile
運営者/編集者/ライター at 株式会社みのりの森

株式会社みのりの森 代表取締役
NPO法人Reframe 代表理事
凸凹じぶんなび とことこ 製作者/運営者/編集長/ライター
発達障がい専門誌きらり。 発行者/編集長/ライター
発達障害(ASD/ADHD)当事者
双極性障害当事者
発達障害の支援を中心に、会社を経営。
NPOでは不登校、発達障害、HSPなどの生きづらさを抱えた子どもと若者の居場所づくりをしている。

Profile
早島禎幸

兵庫県西宮市にある子どものこころと体の健康を守るクリニックの院長。
発達相談もできる。

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