1. HOME
  2. ブログ
  3. わたしらしい生き方
  4. 【連載13】子どもの東洋医学「小児喘息(しょうにぜんそく)」

【連載13】子どもの東洋医学「小児喘息(しょうにぜんそく)」

はじめに

喉が「ゼーゼー、ヒュヒュー」鳴る、咳が止まらなくなる、呼吸がしにくくなる…
といった症状が出る喘息(ぜんそく)。

呼吸をするときの空気の通り道「気道」が、炎症などの影響で狭くなり、呼吸がしにくくなる症状を引き起こします。
幼少期からおおよそ15歳くらいまでに発症する喘息を、特に「小児喘息(しょうにぜんそく)」と言います。

喘息は大人にも起こる病気ですが、子どもさんの喘息は、大人に比べるとアレルギーが影響している傾向が多いとされています。
また、ご両親が小児喘息になったことがあると発症しやすいほか、ハウスダスト・ダニ・タバコの煙・排気ガスなどの生活環境によっても発症しやすくなります。

西洋医学では、発作時の症状を抑えるお薬や、喘息の症状が出ないように長期的に予防するお薬で治療します。

東洋医学的なみかた

東洋医学では、カラダの中を流れ、様々な働きをするものを「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」と呼びます。

「気」… カラダとココロの様々な機能を担うエネルギーのようなもの
「血」… 血液のようなもの
「津液」… 細胞液・リンパ液など、血液以外の体内の液体

このなかの、とくに「津液」が滞ると、空気の通り道である気道が痰で詰まりやすくなり、咳や痰が出やすくなったり、呼吸がしにくくなったりします。
「気」の働きの不調も関係しています。

また、東洋医学では、カラダとココロがうまく働くようにする機能を「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」という5つの概念に分けて考えます。
(西洋医学でいう肝臓・心臓…などと似たような働きもありますが、完全にイコールではありません。)

「肝」… 自律神経のようなはたらき、情緒をコントロールする、「気」の流れをスムーズにする
「心」… 他の臓(肝・脾・肺・腎)をまとめるリーダー、意識や精神をつかさどる、「血」を全身に巡らせる
「脾」… 食べ物の消化吸収を行う胃腸のような働き、食べ物から「気・血・津液」をつくりだし全身に巡らせる
「肺」… 呼吸をつかさどる、鼻などの呼吸器や皮膚にも関係が深い、「津液」を全身に巡らせる
「腎」… 成長や発達に深く関わる、息を「吸う」働きに関わる、「津液」をコントロールする

上記の5つの臓のなかでも、小児喘息は、呼吸と「津液」の運行に関わりの深い「脾・肺・腎」の不調が関わっていることが多いと考えます。

鍼灸では、5つの臓全体のバランスを整えつつ、「脾・肺・腎」のはたらきを調整するツボを使い、呼吸器の状態を整え、「津液」の代謝を助ける施術を行います。

発作が起きているときは「肺」が冷えていたり、逆に熱がこもっていたりすると考え、鍼灸では肺を温めたり熱を抜いたりするツボを使います。
ストレスを感じると悪化しやすい場合には、「肝」の働きを調整することもあります。
(※東洋医学の考え方や鍼灸の施術方針は、流派や施術者によって多様性があります。)

小児喘息は、乳児湿疹・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎などの他のアレルギーがあると発症しやすいと言われ、年齢とともに発症しやすい症状が変化していく場合があります。

喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状が起きる原因には、遺伝的要素・生活環境などの要素など、様々なことが関係していますが、東洋医学では、アレルギーを起こしやすい体質を整えて症状を発症しにくくしていきます。

症状が強い場合は、病院での治療と鍼灸や漢方などの東洋医学を併用し、発作が起きにくい状態に整えていく場合もあります。

おわりに

発作のために夜もよく眠れない、みんなと同じように運動ができない、行事などに参加できない、発作が起きるのが怖くて消極的になってしまう…など、
小児喘息はその症状自体がつらいだけでなく、生活していくうえでの制限や、その子のココロの面でもブロックをつくってしまいがちです。

そして、喘息の発作は時に命に関わるほど激しいこともあり、発作時の対処や、予防のための長期管理、喘息を起こさないようにする環境整備…等々、親御さんにとっても気を遣うことが多く、カラダもココロも疲れてしまうことがあるかもしれません。

「喘息がない他のお友達は、うちの子と違ってこんなこともできるのに…」と比べてしまうこともあるかもしれません。

しかしながら、お子さんそれぞれの性格に個性があるように、カラダとココロの発達の仕方にも個性があります。
子どもさんのカラダはまだ成長段階で、風邪をひきやすい、おなかを壊しやすい…など、成長の途中で特に弱いところに症状が出やすくなります。

また、大人の喘息は完治しにくいといわれていますが、子どもさんの場合は、適切な処置や、成長とともに内臓の働きや免疫機能が整うことによって治ることも多い病気ともいわれています。

もしくは、完全に治らなくても、症状を軽くしていくことは可能です。

その子の性格や特性の個性を尊重するように、成長の仕方にも個性があるものと捉えて、焦らず、他のお子さんと比べず、見守ってあげてください。
親御さんが見守ってくれて、一緒に自分のカラダとココロに向き合ってくれること自体が、お子さんにとって大事なお薬になるのではと思います。

参考:
厚生労働省「気管支喘息」
一般社団法人日本小児アレルギー学会
アレルギーポータル
独立行政法人 環境再生保全機構

Profile
菅原 美幸
ライター 鍼灸師 at ERP下鴨南治療院 接骨・鍼灸

学校法人森ノ宮医療学園
ERP下鴨南治療院 接骨・鍼灸
保有資格:鍼灸師、アロマセラピスト、健康美容食育士、ファスティングマイスター
一般社団法人 日本小児はり学会 会員
中医学にもとづいた鍼灸施術、食養生などのアドバイスも行っています。

ERP下鴨南治療院 接骨・鍼灸
鍼灸部門では、お体の「鍼灸施術」、お顔の「美容鍼」、子どもさんの「小児鍼」、経絡を整える「アロマオイルトリートメント」を行っています。
また、接骨部門ではスポーツの怪我のケアやトレーニング指導も行っています。

Facebook ERP 下鴨南治療院
Facebook 鍼灸・美容

Instagram ERP下鴨南治療院
Instagram 美容

Profile
運営者/編集者/ライター at 株式会社みのりの森

株式会社みのりの森 代表取締役
NPO法人Reframe 代表理事
凸凹じぶんなび とことこ 製作者/運営者/編集長/ライター
発達障がい専門誌きらり。 発行者/編集長/ライター
発達障害(ASD/ADHD)当事者
双極性障害当事者
発達障害の支援を中心に、会社を経営。
NPOでは不登校、発達障害、HSPなどの生きづらさを抱えた子どもと若者の居場所づくりをしている。

Profile
心花kohana
イラストレーター | Website

40代主婦、絵も描きます。 発達障害当事者(ASD)があり二次障害の統合失調症があります。
発達障がい専門誌きらり。の表紙や、挿絵を担当した経験があり、他数冊の表紙絵や挿絵を担当したことがある。
ギャラリーで色鉛筆作品など絵画作品展示にも参加している。

関連記事