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就労継続支援A型とB型とは?(福祉就労)

なぜ「仕事」をするのだろう?

突然ですが、宝くじで3億円が当選したら、どうしますか?

慎ましく暮らしていれば、一生食うに困らない額のお金が手に入った場合、私は今の仕事を辞めます。
でも、自分のやりたいペースで、他の何らかの仕事を探すかもしれません。

生活に困らなければ別に仕事なんてしなくてもいいのでは?
とも思いますが、
仕事をしていない状態の自分を想像すると、毎日昼過ぎに起きて、ダラダラとゲームをしたりマンガを読んだりして過ごし、ご飯はファミレスで適当に済ませ、深夜までまたダラダラと遊ぶ、というような生活をするに違いないのです。
これでは健康を害します。

毎日の生活に、「仕事」という適度な制約がないと、サボりグセのある私のような人間はやっていけないのではないかと思うのです。

仕事というのは不思議なもので、あれば煩わしいし、無いと困る、やっかいな性質を持っています。
つまるところ、自分のできる範囲で無理なく仕事をしている状態が、お金の面でも健康の面でも人生の目的という部分でも、無難なのではないでしょうか。

ただし、人のよってどういう仕事をどれだけやることがベターなのかはさまざまです。
病気や障害の特性により
「一般的な仕事の内容や量だとちょっとしんどいな」と思われる方にご紹介したいのが、「就労継続支援(福祉就労)」です。

 

就労継続支援(福祉就労)と就労移行支援のちがいは?

以前の記事で、「就労移行支援」というサービスをご紹介しましたが、就労継続支援というのは、それとよく似ています。
ともに、障害を持っている方の就労をサポートするためのものです。
そのため、「福祉就労」とも呼ばれています。

しかしながら、異なっているのが、就労継続支援は利用することで給与や工賃といった報酬が支払われるという点です。
就労移行支援事業所を利用してもお金はもらえません。

就労移行支援って、どんなもの?

なぜこのような違いがあるのかというと、
就労移行支援があくまでどこかの会社へと就職するための「橋渡し」のような機能を主眼として運営されているのに対して、
就労継続支援事業所はそれ自体が「会社」のようなものだからです。

就労継続支援では、
利用者の体調やスキルに配慮したボリュームで、
実際にものを作ったりサービスを提供したりして収益を得て、利用者に報酬が支払われています。

就労移行はお金が出ず、就労継続ならお金がもらえる。

「じゃあ就労継続支援を利用したほうがおトクじゃないか!」
…と思えるのですが、
これはそれぞれのサービスの性格が違っているために生じる差異であって、どちらを利用するのが良いとは一概に言えません。

●一般企業へ就職することを早期に希望する方は → 就労移行支援
●心身の状態からいって、一般企業への就労に不安を持っており、少し時間的な余裕が必要な方は  → 就労継続支援

就労移行支援ではお金がもらえませんので、
「生活をするうえで就労継続支援を選択する」という方もいます。

就労継続支援である体調を整えてから、就労移行支援へと移行する、という使い方もありますし、
就労移行支援で一般企業への就職を目指したけれど、少ししんどくなってしまったので就労継続支援に切り替える、という道もあります。

就労継続支援のA型とB型のちがいは?

就労継続支援事業所には、A型とB型の2種類があるということも知っておいた方がよいでしょう。

A型は「雇用型」、たいしてB型は「非雇用型」とも呼ばれます。

就労継続支援A型とは?

就労継続支援A型では、利用者はA型の事業者と雇用契約を結びます。

雇用契約とは、労働者が会社に対して仕事を行い、会社はその対価としてお給料を渡す、という約束のことですから、
就労継続支援A型の事業者と利用者の関係は、一般的な会社と、その社員との関係と同じです。

当然のことながら、障害についての配慮を受けながら働き、スキルを高めることが可能です。

就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型では、事業者と利用者は雇用契約を結びません。

利用者はなんらかの労働を行いますが、雇用契約にもとづく給与ではなく、工賃というものを受け取ります。
雇用契約を結ばない代わりに、比較的自由に働くことができます。

 

これが就労継続支援A型とB型のちがいです。
こういう区分を設けているのも、利用者の能力や健康状態において最適な環境を提供するためと言えるでしょう。

●A型 → ふつうの会社では少し精神的、体力的に厳しいけれど、相応の配慮があれば会社の規則にしたがって就労できる方
●B型 → 安定的に労働することがむつかしい方にはB型

いずれにせよ、就労継続支援A型とB型は、賃金をもらいながら、就労に必要な能力を養うことができる場です。

また、就労移行支援では利用期間が2年までと決まっているのにたいし、
就労継続支援は利用期間に制限がないので、じっくりと訓練を行うことが可能です。

健康管理、食事、金銭の管理から、挨拶、感情のコントロールといった対人スキルを学んだり、
職務を行うにあたって必要な技能を磨いたりすることができるでしょう。

(※上の表:発達障がい専門誌きらり。12号から抜粋)

どんなお仕事をするの?

就労継続支援事業所が行っている事業内容は、
パソコンを使った事務作業、物品の梱包や仕分けといった軽作業をはじめ、
アクセサリーづくりやお菓子、パンづくり、イラスト制作や農作業などさまざまです。

変わったところで言えば、ラーメンを調理している事業所もあります。

私もA型事業所で製造されたクッキーをよく買って食べています。
おいしいです。

また、芸術的な才能を発揮してユニークなお皿や湯飲みを作っている方がいて、ときどき事業所に足を運んで新作を購入しております。

これから事業所を選ぶ方は、自分に合った仕事内容を比較検討することが大事です。
各地にたくさんの事業所がありますので、いろいろなところに見学に行ってみてください。

就労継続支援を利用するときの注意点

さきほど、就労継続支援事業所というのは、
会社のように実際にものを作ったりサービスを提供したりして収益を得て、利用者に報酬が支払われていると書きましたが、
基本的には一般企業への就労(障害者雇用、一般雇用)のトレーニングの場として運営されているので、
ずっと就労継続支援で働き続けることは原則的には推奨されません。

A型には雇用契約が存在し、最低賃金が保証されますが、そうは言ってももらえる給料はあまり高くはありません。
B型になるとさらにもらえる賃金は低くなります。

ですので、
トレーニングを行って、そこから一般企業への就労へとステップアップできるのであればそれに越したことはないのです。

ただし、実情をいえばすべての方が一般企業へ就職できるわけではありません。
就労継続支援事業所というのは障害をもった人々の居場所、社会との接点をになうという役割を持っていて、そこに長く在籍することで社会とかかわることが出来ている方もいます。
このあたり、就労継続支援の持っている社会的な意義が多岐に及んでいることを知っておくことが必要です。

障害年金をもらえる場合は、
就労継続支援で得た賃金と合わせて生活資金を確保することができますので、
障害年金などの社会保障を自分が受けることができるかどうか、併せて確認するのが良いかと思います。

金銭的には少しシビアな部分もありますが、
「障害に対する配慮を受けつつ、就労スキルを高めることが出来る」
というのは就労継続支援の魅力です。

個人差があることですが、
就労によって社会と結びついていることで生活が豊かになり、
知人ができ、コミュニケーションが生まれ、
規則正しく生活を送ることが出来る、
毎日が楽しく、やりがいがある、
といった好循環を生み出すための場として、就労継続支援を活用してくだされば幸いです。

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試し読みもできます。
ぜひホームページをご覧ください。

Profile
岩崎友寛

就労移行支援事業所「ソース堺東・三国ヶ丘」職業指導員。Photoshop、Illustrator、Excelなどの講座を担当しています。今までにした仕事は、アニメーション、CM、TV番組の制作。アイドルグループ販促イベントの運営、CD制作。展覧会の企画運営。Webライター、書店員などなど。多動強めのADHDです。

Profile
運営者/編集者/ライター at 株式会社みのりの森

株式会社みのりの森 代表取締役
NPO法人Reframe 代表理事
凸凹じぶんなび とことこ 製作者/運営者/編集長/ライター
発達障がい専門誌きらり。 発行者/編集長/ライター
発達障害(ASD/ADHD)当事者
双極性障害当事者
発達障害の支援を中心に、会社を経営。
NPOでは不登校、発達障害、HSPなどの生きづらさを抱えた子どもと若者の居場所づくりをしている。

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