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統合失調症(とうごうしっちょうしょう)

統合失調症という病名をご存じです?
芸能人が「私は統合失調症です」と公表する書籍を出しているなど、病名を知っている人もいるのではないでしょうか。
病気の表れ方が「妄想」「幻覚」など特徴的なので物語としての描きやすさがあるのか、映画などでも題材になっていることがあるので、ご存じの方も多いかもしれません。
有名な症状としては、妄想や幻覚があげられますが、他にもさまざまな症状があります。
今日は一緒に「統合失調症」について学んでいきましょう。

統合失調症とは?

考え方や気持ち、見えるものや聞こえるものの理解の仕方が、通常と異なります。
本人も現実と非現実あるいは虚構の区別がつかず、社会生活に支障をきたしやすい脳の病気です。

先天性(生まれ持った特性)のものではなく、後天性(あることをきっかけに途中から発症する特性)の病気といわれています。
しかし、現実感があいまいだからといって、一生働けなかったり結婚できなかったりするのかといわれると、そうではありません。
医師による適切な診断のもと、薬の適切な処方や治療をすることで、多くの人が症状と仲良くなって、自身でコントロールしながら社会生活を送っています。

どのくらいの人がなる?なりやすい人はどんな人?

なりやすさ(有病率)は、約100人と言われています。

私は臨床心理士であり、病院やクリニックに勤めていたことから仕事上、たくさんの統合失調症の人と出会いました。
しかし、全く同じ症状で、全く同じ治療をしている人はいません。
共通点はありますが、違う病気の併発、もともとの性格や代表症状の組み合わせ等によって違う症状にも見えるので、診断はとても難しいといえます。

後ほど、統合失調症の症状は多様であることから全体像を把握することは厚生労働省のガイドラインでも難しいと言われています。
そのため、厚生労働省のガイドラインや書籍などでも表記されている代表的な症状をわかりやすくので、ぜひこのまま読み進めてみてください。

原因

いまだに不明ですが、大きなストレス(大学受験や就活に失敗する、独立や結婚など)が要因の一つとなることが多いといわれています。
しかし、このようなストレスはだれにでも起こりうるため、ストレス耐性の違いなども要因と考えられています。
双生児研究(双子を研究することで発症には遺伝あるいは環境が関係しているのかを調査する)でも、両方の影響が関係することが明らかとなりました。

発症年齢

高齢期や小児期の発症もまれにあるようですが、多くは思春期~30代頃に発症するといわれています。
特に男性の方が若い年齢で発症しやすく、女性は20代後半で患うケースが高くなってくるといわれています。
また、小児期に妄想等を訴えてくる場合は、白昼夢や空想、発達障害の自閉症状などの可能性も高いので、専門家はに聞き取り、観察をする必要があると言われています。
後半では、統合失調症と間違えられやすい病気も紹介しますね。

症状はどんなものがあるか?

統合失調症の症状は大きく分けて3つです。
1つ目が、陽性症状。2つ目が、陰性症状。そして3つ目が認知機能障害です。

1.陽性症状

・妄想
・幻覚
・思考障害

妄想

実際には起こっていないことが、起きているという感覚になる症状です。
代表的なのは、主に下記3つです。

①被害妄想
他者から危害を加えられている、嫌がらせをされていると思ってしまう妄想です。

②関係妄想
とあるメッセージが自分に向けられていると思う妄想です。

例えば、テレビでコメンテーターがコメントをしたとします。
それらが、自分だけに向けたメッセージであると信じ、そのコメント通りに動こうとするなどが典型的な例です。

③誇大妄想(こだいもうそう)
自分は歴史上の人物の子孫である、特別な能力を持っているなど、自分がいかに優れた人間かということを思っている妄想です。

④その他
・させられ体験(作為体験:さくいたいけん)
妄想に近い症状として表れ、操られている感覚になります。

・考想伝播(こうそうでんぱ)
自分の考えていることが周囲に知れ渡っているという感覚です。
私が出会った患者さんだと、「芸能人の○○と本当に結婚しているのは私」
「警察に追われるくらいの重大な犯罪をしたから今ここ(病院)でかくまってもらっている」と言っている方がいました。

幻覚

一番有名なのは「幻聴」です。
他の疾患にも「幻聴」はありますが、統合失調症には以下の特徴があります。

命令をしてくるなどの脅迫的なが聞こえたり、行動を非難するような言葉、2人以上の声で会話をする場合もあります。
周りの人からすると、幻聴を聞いている姿は、ニヤニヤ笑う(空笑)、幻聴と対話してなにかブツブツ言っている(独語)と見えるため、奇妙だと思われやすいです。

実際に私が出会った患者さんの中には、
「刃物を持って外に出るように言われた」「二人の男女が終始わたしのことを噂している」と言っている方がいました。

※その他
・体感幻覚
実際はありえない臓器の異常な感覚のこと。
例えば、「脳がぐにゃぐにゃになった」「血管の中で血が燃えている」などです。

・幻視
他の疾患にもあるものですが、統合失調症の場合は体に見えないはずの虫が見えるといったものが最も有名です。

思考障害

①連合弛緩
専門家間だと、これが進むことにより話があちこちに飛び、最初の話が本人も聞き手もわからなくなる支離滅裂とした「言葉のサラダ」という状態になるといわれています。
例えば、脈絡ない考えがどんどん浮かんできて、一貫性がなく話にまとまりがなくなっていくことです。
他の疾患でも、思考のまとまりがない状態はありますが、統合失調症の場合は全く脈略がわかりません。

②迂遠(うえん)
他の疾患でもある症状です。
遠回りで回りくどい言い方をしやすいことが特徴的です。
なかなか結論に達することができないので、聞いている側が意図を汲むのもなかなか難しくなります。

2.陰性症状

常にあるはずのものが不足した状態と思考えるのが一番わかりやすいです。
具体的な症状には、主に下記の4つがあります。

・感情の(変化が乏しく単調な様)
・思考の低下
・意欲の欠如
・自閉

感情の平板化(感情鈍麻)

喜怒哀楽といった感情が乏しくなる状態で、共感性に欠けます。

思考の低下

思考が低下し、会話量が減る、心ここにあらずの会話になりやすいです。

意欲の欠如

目的を持った行動ができず、何事に関しても意欲を持つことができなくなる状態です。

自閉

他者との関わりを避け、引きこもった生活を送り、社会性が低下していきます。

3.認知機能障害

日常生活に支障をきたすような記憶力、注意・集中力、判断力の低下などがあります。
例としては、下記の3つがあげられます。

・さまざまなものに目がいき集中できない
・比喩表現などが理解できない
・物の配置場所(洋服はタンスにしまう)など概念化ができない

これらも他の疾患でも見られる症状ですが、
特に統合失調症の場合、以前はできたことができないという状態が特徴です。

※(精神障害の診断および統計マニュアル:第5版)の診断基準では、
妄想、幻覚、まとまりのない発語、ひどくまとまりのない・もしくは緊張病性の行動、陰性症状のうち、最初の3つの中の1つが存在する必要があります。
また、こういった症状が一過性のも他の疾患等によるものではなく、少なくとも6か月は持続することも診断基準の一つです。

経過

統合失調症は、以下の期間を経ていくといわれています。
前兆期➡急性期➡休息期➡回復期 です。

前兆期

睡眠不足、音への過敏さ、焦燥感(しょうそうかん)、過労などが見られます。

急性期

不安になりやすい、睡眠不足、被害妄想等の妄想が見られます。
安心感や休息、睡眠などが大切な時期となります。

休息期

過眠傾向、身体のだるさ、ひきこもり、意欲の低下、自信の欠如などが見られます。

回復期

ゆとりが見られ始め、周囲への関心が戻ってきます。
リハビリテーションや体力づくりが大切な時期になっていきます。
もちろん休息が大事ですが、この後説明するような「薬物療法」も大切となります。

治療

まずは、本当に統合失調症か、誤診ではないかというところが大前提にあります。
誤診されやすい疾患は後ほど説明します。
代表的治療法は、下記の2つです。

・薬物療法
・リハビリテーション

特に急性期は、薬による治療が基本中の基本ですが、
早期からリハビリテーションも併せて行っていくと効果的と言われています。

1.薬物療法

抗精神病薬を使った治療が中心となります。
この薬は、脳内で大活躍中のドーパミンの活動を抑えることができます。

統合失調症の方は、ドーパミンが人よりもかなり多い状態であるといわれています。
ドーパミンは、気持ちを興奮させたり緊張させたりする効果があります。

興奮度が高くなるとどうなるのか?
やる気に満ち溢れることを通り越して、思いがあふれ、自分でもコントロールができにくくあります。
まさに、先ほど説明した統合失調症の陽性症状や思考障害ですよね。
そのため、抗精神病薬を使います。

※その他の薬
・抗不安薬(不安や緊張を和らげてくれる)
・抗うつ薬(憂うつな気分を和らげる)
・睡眠薬(睡眠不足を補う)

副作用が起こる場合もなかにはありますので、薬を飲んで症状や生活に違和感があったら、飲むことをやめるのではなく、主治医に相談しましょう。
薬を飲むのをやめることで、再発のリスクは高まります。
もし、どうしてもたくさん飲みたくない・毎食飲みたくないときは主治医と相談して、調整していきましょう。

2.リハビリテーション

主に医療機関で実施されることが多い方法です。
リハビリテーション(以下、リハビリ)というと、けがをした時などに身体を動かして元通りに動かせることを想像するかもしれません。
しかし統合失調症のリハビリテーション(精神科のリハビリテーション)は、以下のような内容であることが多いです。

・心理教育
・SST(ソーシャルスキルトレーニング/社会生活技能訓練)
・作業療法(レクリエーションや軽作業、料理)

私自身、SSTと心理教育に携わっていました。

SST(Social Skills Trainingの略称、日本語では社会生活技能訓練)

病気や薬との付き合い方、対人関係を良好にする方法、ストレス対処法などのスキルを実践的に学ぶことで、生活の質を上げていきます。
多くはグループで行われますが、場合によってはマンツーマンで行うこともあります。
どちらにせよ、ロールプレイングで学ぶことが多いです。

心理教育

病気の原因や症状、薬や食事など正しい知識を学ぶことで、病気の理解を深めていきます。
これらをすることで病気との付き合い方を学び、正しく意欲的に治療に取り組む気持ちを作っていくことができます。
また、家族に対して心理教育をすることもあります。

作業療法

塗り絵や裁縫、ゲーム(ボードゲームやボーリング、カラオケなど)、パソコン、体操、書道、折り紙などの軽作業を行います。
娯楽を通して、達成感を感じたり、集中力や社会性など日常生活にとって必要なスキルを回復させたりする効果があるといわれています。

周囲の対応

まず、ここまでに書いてあったこと含め、「統合失調症」という病気を知り、それにより自分を失ってしまった当事者を受け止めてほしいです。
ご家族や恋人、ご友人もつらいとは思います。
そのため、皆さんも一人で抱えずに周囲(行政や医療などのサポート含む)の力を借りながら、みんなで回復に向かうことが大事になります。

よくある質問

妄想や幻覚について、「周囲はどのように対応したらよいのか?」といったことを聞かれます。
答えは、否定も肯定もしないことです。

かなり難しいとは思いますが、否定されることで、さらに自分だけの世界に入ってしまうのを避けるためです。
反対に肯定することで抜け出しにくくもなる場合があります。
症状を受け止め、そういう状態に今なってしまっているということ、それでも「私たちは味方」という思いで接してほしいです。

再発予防の観点からも、苦しいとは思いますが、家族のサポートは必要となります。
一番の理解者であり、安全基地であることが、回復への道につながります。

専門家や制度

先ほど紹介した精神科リハビリテーションのほかに、以下のような組織があります。

・自立訓練
・福祉ホーム・グループホーム
・障碍者手帳や自立支援医療制度
・障害年金や障害基礎年金
・訪問看護

当事者向けだけではなく、家族会といった家族のための集まりもあります。

・当事者会
・家族会

・みんなねっと(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会)
全国のご家族と家族会をつなぐ支援を行っており、電話相談も行っています。

・いのちの電話

つながりにくいそうですが、一番有名な電話相談室。医療・法律相談も行っているそうです。

誤診されやすい病気

小児期に発症する確率は極めて低いため、小児期に近い特徴を感じた場合は、以下のような原因も考えられます。

自閉スペクトラム症
社会的コミュニケーション症

高齢期にも発症する確率は低く、よく誤診されやすいのは以下の通りです。

・レビー小体型認知症

幻聴などはなく、幻視がメインの症状となります。

それ以外の発症率の高い時期に似た症状がある場合は以下の3つと誤診されやすいです。

・うつ病や双極性障害などの気分障害
・妄想性障害やせん妄を呈する精神病
・持続的な複数の身体的愁訴

内分泌・代謝疾患、電解質異常、中枢神経疾患、神経筋疾患、薬物が9割以上です。

まとめ

今回は、統合失調症をテーマに学びましたね。
知っているようで知らなかったことも多いかと思います。

病気を知ることで、自分を知る、相手のことを知るきっかけの一つにもなります。
私の知人にも統合失調症の方やその家族がいて、日々苦しい思いをしている人も多いです。

本人も周囲も、誰かに話す(まだ理解のある病気ではないので、専門家の方がいいかもしれません)ことで少しでも一人で抱えずにいられたらと思います。
また、発症しないためにも、ストレス耐性を強化する、人に話すなど、日ごろから取り組む統合失調症に限らず、なるべく病気にならない心作りが大切になるだろうと思っています。

<参考>
厚生労働省、医学書院『精神疾患・メンタルヘルスガイドブック』

 

Profile
池谷さき
ライター

臨床心理士
大学院卒業後、精神科病院、心療内科クリニック、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業に勤務。
うつ病や双極性障害、不安障害の方のカウンセリングを経験。また、子どもから大人まで様々な発達障害の方の相談支援や心理検査を行ってきた。現在は療育の現場を中心に、オンライン含むカウンセリングや心理学系コラムの随筆、講師などの依頼も引き受けている。

Profile
永井葵
イラストレーター

2020年京都精華大学芸術学部を卒業。
イラスト担当。
(就業体験でイラストを描いていただきました)

Profile
山田実穂
編集者

2002年より15年間、芸術系の出版社に勤続し、後半は編集長を務める。
2007年、過労よりパニック障害とうつ状態を発症。
2018年、それらの症状がADHD(注意欠如・多動症)ではないかと疑い、グレーゾーンの診断を受ける。
現在はフリーランスの編集者・ライター。

Profile
運営者/編集者/ライター at

株式会社みのりの森 代表取締役
NPO Reframe 代表理事
凸凹じぶんなび とことこ 製作者/運営者/編集長/ライター
発達障がい専門誌きらり。 発行者/編集長/ライター
発達障害(ASD/ADHD)当事者
双極性障害当事者
発達障害の支援を中心に、会社を経営。
NPOでは不登校、発達障害、HSPなどの生きづらさを抱えた子どもと若者の居場所づくりをしている。

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